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医療コラム

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交通事故後の膝の痛みは何が起きている?原因と検査、治療の流れ

交通事故後の膝の痛みは何が起きている?原因と検査、治療の流れ

交通事故のあと膝に痛みや腫れが出ると、「骨が折れているのか」「靭帯を傷めたのか」「放っておいても治るのか」と不安が重なります。膝は骨・靭帯・半月板・軟骨が複雑に組み合わさった関節で、衝撃の受け方によって損傷する部位が異なります。痛みの正体を正確につかむには、整形外科での画像検査が欠かせません。

この記事では、交通事故で膝が痛くなる仕組みから、検査で何がわかるのか、治療とリハビリの具体的な流れまでを整形外科専門医の視点で解説します。

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交通事故で膝を痛めるとき、膝の中では何が起きているか

交通事故で膝を痛めるとき、膝の中では何が起きているか

膝関節は、大腿骨(太ももの骨)・脛骨(すねの骨)・膝蓋骨(膝のお皿)の3つの骨で構成されています。骨同士をつなぎ止める靭帯、衝撃を吸収するクッション役の半月板、関節面を覆う軟骨がそれぞれの役割を果たすことで、歩く・曲げる・伸ばすといった動きが成り立っています。

交通事故で膝を損傷するパターンは、大きく2つあります。

膝を直接ぶつけたときに起こる損傷

ダッシュボードや車内構造物に膝を直接打ちつけるケースです。衝突時に体が前方へ投げ出されると、膝蓋骨やすねの上端がダッシュボードにぶつかり、骨折や後十字靭帯損傷を引き起こします

このメカニズムは「ダッシュボード損傷」と呼ばれ、膝の前面からの強い力で脛骨が後方に押し込まれることで、後十字靭帯が過度に引き伸ばされて断裂に至ります。

膝がねじれたときに起こる損傷

バイクや自転車での転倒、歩行中にはねられた際に膝がねじれるケースです。着地時に膝が内側や外側に不自然にひねられると、前十字靭帯や半月板が損傷します。ねじれの力は膝関節の内部構造を広範囲に傷める可能性があり、靭帯と半月板が同時に損傷する複合損傷も珍しくありません。

事故後、数日経ってから膝が痛くなるのはなぜか

事故後、数日経ってから膝が痛くなるのはなぜか

交通事故の直後には痛みを感じなかったのに、数日〜1週間ほど経ってから膝に痛みや腫れが出てくるケースは少なくありません。

事故直後は、身体がストレス反応としてアドレナリンを大量に分泌するため、痛みの感覚が一時的に抑えられます。緊張が解けた翌日以降になって初めて「膝が曲げにくい」「正座ができない」「階段で痛い」と気づくことがあります。また、靭帯や半月板の損傷は外から見ても腫れがわかりにくいことがあり、関節内で徐々に出血や炎症が進行して、数日後に症状が表面化するパターンもあります。

事故から日数が経っていても、痛みが出た時点で整形外科を受診することが大切です。受診が遅れると、損傷の正確な評価が難しくなるだけでなく、自賠責保険の請求において「事故との因果関係」を証明しにくくなる可能性があります。一般的に、事故から2週間以上受診がないと因果関係の証明がより困難になるため、痛みや違和感があればできるだけ早く受診してください。

膝の痛みの原因となる主なケガ

膝の痛みの原因となる主なケガ

交通事故後の膝の痛みは、損傷する部位によって症状や治療方針が異なります。ここでは整形外科で診断される代表的なケガを取り上げます。

膝の打撲・挫傷

膝をぶつけた衝撃で皮下組織や筋肉が傷つく状態です。腫れや内出血、押したときの痛みが主な症状で、多くの場合は安静・冷却・圧迫・挙上(RICE処置)と消炎鎮痛剤で2〜4週間程度で改善します。ただし、打撲に見える痛みの奥に骨折や靭帯損傷が隠れていることがあるため、レントゲンで骨に異常がないかを確認しておくことが重要です。

膝蓋骨骨折

膝のお皿(膝蓋骨)が強い力で割れる骨折です。ダッシュボードに膝を打ちつけた際や、転倒して膝から地面に落ちた際に起こります。激しい痛みと腫れ、膝を伸ばせなくなるのが典型的な症状です。

骨片がずれていなければギプスやサポーターで固定して保存的に治療しますが、骨片が離れている場合はワイヤーやスクリューで固定する手術が必要になります。治療期間は保存療法で約3〜6ヶ月、手術の場合もリハビリを含めて3〜6ヶ月程度が目安です。

半月板損傷

半月板は、大腿骨と脛骨の間に位置するC字型の軟骨組織で、膝にかかる衝撃を吸収し、関節を安定させる役割を担っています。交通事故で膝にねじれの力が加わると、この半月板が裂けたり割れたりします。膝を曲げ伸ばしするときの引っかかり感やロッキング(膝がある角度で動かなくなる状態)が特徴的な症状です。

関節内に水や血液が溜まり、膝全体が腫れることもあります。

治療方針は、損傷の大きさと損傷部位の血流の有無で決まります。半月板は外縁部に血流があり、内縁部には血流がないため、自然治癒の見込みが部位によって異なります。

損傷が小さく症状が軽い場合は、リハビリと投薬で経過を見ます。損傷が大きい場合やロッキングが繰り返される場合は関節鏡を使った手術を検討し、血流のある外縁部の損傷では縫合、血流のない内縁部の損傷では切除を行います。

靭帯損傷(前十字靭帯・後十字靭帯・側副靭帯)

膝の靭帯は4本あり、それぞれ膝の安定性を異なる方向から支えています。

靭帯名 役割 交通事故で損傷しやすい場面
前十字靭帯(ACL) 脛骨が前にずれるのを防ぐ 転倒時に膝がねじれた場合
後十字靭帯(PCL) 脛骨が後ろにずれるのを防ぐ ダッシュボードに膝を打ちつけた場合
内側側副靭帯(MCL) 膝が外側に開くのを防ぐ 膝の外側から強い力が加わった場合
外側側副靭帯(LCL) 膝が内側に入るのを防ぐ 膝の内側から強い力が加わった場合

靭帯を損傷すると、膝が「ぐらつく」「力が入らない」「膝が抜ける感覚がある」といった不安定感が出ます。損傷の程度は部分断裂から完全断裂まで幅があり、部分断裂であればサポーターと筋力訓練による保存療法が中心です。完全断裂の場合は膝の不安定性が大きく残るため、再建手術を行ったうえで半年〜約1年のリハビリに取り組みます。

整形外科ではどんな検査をするか

整形外科ではどんな検査をするか

膝の痛みの原因を正確に把握するためには、医師の診察と画像検査を組み合わせます。

レントゲン検査で骨の状態を確認する

レントゲンは骨折や脱臼の有無を短時間で確認できる基本的な検査です。膝蓋骨骨折や脛骨・大腿骨の骨折は、レントゲンで明確に映ります。一方で、靭帯や半月板など骨以外の軟部組織はレントゲンには映らないため、「レントゲンで異常なし」が「膝のどこにも問題がない」を意味するわけではありません。

MRIで靭帯・半月板の損傷を確認する

MRIは靭帯・半月板・軟骨といった軟部組織の損傷を画像として描出できる検査です。放射線を使わず磁気を利用するため被ばくがなく、断面画像で損傷の位置と範囲を詳しく確認できます。交通事故後に「レントゲンでは骨に異常がないのに膝が痛い」という場合、MRIを撮ることで靭帯の断裂や半月板の亀裂が見つかるケースは多くあります。

CT・超音波検査の役割

CTは骨の形状を3次元的に評価でき、複雑な骨折の手術計画を立てるときに有用です。超音波(エコー)検査は、診察室でリアルタイムに膝周囲の腫れや関節内の水の溜まり具合を確認できます。被ばくや痛みがなく、膝を動かしながら組織の動きを観察できる点が強みです。

整形外科ではこれらの検査を組み合わせて、「どの組織が」「どの程度」損傷しているかを総合的に判断します。検査結果に基づいて治療方針を立てるため、自己判断で「打撲だろう」と放置せず、事故後は早い段階で整形外科を受診することが、適切な治療への第一歩です。

交通事故後の膝の治療とリハビリの流れ

交通事故後の膝の治療とリハビリの流れ

交通事故による膝のケガは、損傷の種類と重症度によって治療方針が大きく変わります。ここでは保存療法からリハビリまで、治療の全体像を示します。

保存療法の内容

打撲・軽度の靭帯損傷・ヒビ程度の骨折など、手術が不要なケガに対して行う治療です。消炎鎮痛剤や湿布による痛みのコントロール、サポーターやギプスによる固定、物理療法(電気治療・温熱療法など)を組み合わせます。安静期間の目安は症状によって異なりますが、打撲であれば2〜4週間程度、靭帯の部分損傷であれば4〜8週間程度で日常動作に復帰できるのが一般的です。

手術が必要になるケース

膝蓋骨の骨片がずれた骨折、前十字靭帯の完全断裂、ロッキングを繰り返す半月板損傷などは、手術を検討します。関節鏡を使った低侵襲手術が主流になっており、入院期間は数日〜2週間程度が目安です。前十字靭帯の再建手術では、太ももやすねから採取した腱を使って新しい靭帯を作り、膝の安定性を取り戻します。

リハビリが回復を左右する

膝のケガにおいて、治療と同等かそれ以上に大切なのがリハビリです。関節を固定していた期間が長いほど、膝まわりの筋力は落ち、関節の動く範囲(可動域)は狭くなります。理学療法士が膝の状態を評価しながら、段階的に可動域訓練と筋力トレーニングを進めます。

リハビリの一般的な段階は以下のとおりです。

時期 主な内容
急性期(受傷直後〜数週間) 炎症の管理、痛みの軽減、膝を動かせる範囲での軽い運動
回復期(数週間〜数ヶ月) 可動域の拡大、太もも・ふくらはぎの筋力回復、歩行訓練
復帰期(数ヶ月〜) 日常動作の安定、階段昇降や軽い運動への復帰、再発予防のセルフケア指導

リハビリは「痛みが取れたら終わり」ではなく、筋力と可動域が回復して日常生活に支障がなくなるまで続けることが、後遺症を残さないために重要です。自己判断で通院をやめてしまうと、膝の不安定感が残ったり、可動域制限が固定してしまうリスクがあります。

また、事故で軟骨や半月板が傷ついた膝は、年数が経つにつれて変形性膝関節症に移行する可能性があるため、早い段階でしっかり治療しておくことが将来の膝を守ることにもつながります。

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交通事故の膝の治療費と自賠責保険

交通事故の膝の治療費と自賠責保険

交通事故でケガをした場合、相手方の自賠責保険が治療費を負担します。被害者が治療費を立て替える必要はなく、整形外科での検査・治療・リハビリの費用は自賠責保険の対象です。加害者側の保険会社が治療費を一括対応する場合は、窓口での支払いが不要になるケースもあります。

ただし、事故から長期間受診しないと、事故と症状の因果関係を否定される場合があるため、事故後はできるだけ早く受診し、定期的に通院を続けることが重要です。手続きの詳細は受診時にクリニックの窓口で確認できます。

交通事故の膝の痛みに関するよくある質問

交通事故の膝の痛みに関するよくある質問

交通事故後の膝の痛みに、自宅でできるケアはありますか?

受傷直後の急性期(2〜3日)はアイシングで患部の腫れを抑えることが基本です。急性期を過ぎて腫れが引いてきたら、入浴で膝周辺を温めると血行が促進され回復を助けます。ただし、自己流のストレッチやマッサージは損傷を悪化させるおそれがあるため、リハビリの内容は必ず担当の理学療法士の指導に従ってください。

交通事故で膝を痛めた場合、整骨院・接骨院に通ってもよいですか?

整骨院・接骨院での施術は症状の緩和に役立つ場合がありますが、まず整形外科で診断を受けることが前提です。整骨院ではレントゲンやMRIといった画像検査ができないため、損傷の正確な診断は整形外科が担います。整骨院と併用する場合は、整形外科の医師の同意を得たうえで通うのが原則です。

膝の痛みで後遺障害が認定されることはありますか?

治療を十分に行っても痛みや可動域制限が残った場合、後遺障害として認定される可能性があります。認定にはMRIなどの画像所見や、関節可動域の計測データが必要です。後遺障害の申請を視野に入れている場合は、治療の経過を記録として残すことが大切なため、定期的な通院と医師への症状の報告を継続してください。

まとめ

まとめ

交通事故で膝に痛みがあるとき、まず必要なのは「痛みの原因が何か」を画像検査で正確に確認することです。打撲程度であれば比較的早く回復しますが、靭帯損傷や半月板損傷が潜んでいる場合、放置すれば慢性的な膝の不安定感や将来の変形性膝関節症につながる恐れがあります。

早期に整形外科を受診し、レントゲンだけでなくMRIも含めた検査を受けること。診断に基づいた治療とリハビリを継続すること。この2点が、膝の痛みを長引かせないために最も重要です。

品川大井町整形外科・リハビリクリニックでは、院内でのレントゲン検査に加え、提携先の病院でのMRI・CT撮影にも対応しており、整形外科専門医による診断から理学療法士によるマンツーマンのリハビリまで一貫して対応しています。交通事故の治療は自賠責保険が適用されるため、事故後の膝の痛みでお悩みの方はご相談ください。

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この記事の監修者

品川大井町整形外科 リハビリクリニック

院長 福山泰平

当院では、整骨院や接骨院、整体・マッサージなどではできない、交通事故の専門治療プログラムを行っています。充実した機器と広いリハビリ設備を完備しておりますので、どうぞ、安心してご来院ください。

経歴
神戸大学医学部 卒業
神戸大学医学部大学院(医学系研究科)修了
大阪大学医学部大学院(医学系研究科)特別研究生
M.D. & Ph.D. 取得
神戸大学医学部附属病院 勤務
神戸労災病院 勤務
三菱神戸病院 勤務
資格・認定
日本整形外科学会認定 整形外科専門医
日本整形外科学会認定 リウマチ医
日本整形外科学会認定 リハビリ医
日本運動器科学会 リハビリ指導医

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