プーチンの戦略
- 2022年10月10日
- 独り言
プーチンは良くも悪くも、いろいろな意味で賢明だ。
彼の人生は、ソビエト連邦の崩壊を目の当たりにしてきた。自国の領土が分裂、縮小し、冷戦時代の世界のリーダー争いから転落する様はさぞかし悔しく、歯がゆいものであったことは想像に難くない。おそらく、ロシアの人々にもそういった思いがあり、強いリーダーを望む声に繋がっているのではないだろうか?
そして、彼は自分に残された時間が少ないことも知っている。噂にしかすぎないが、プーチン病気説も一部にあった。まだ余力が残っている間に何とか現状を少しでも押し返したい、という気持ちもあるだろう。「俺にしかできない」と。
また、プーチンを「最後まで一歩も引けない」状況に持ち込んだ欧米の戦略も大きい。情報戦に勝ち、相手の心理状況や国民感情につけ込むのは欧米の得意とするところだ。「攻めるぞ」、「今なら勝てる」、「ウクライナは核を持たず、兵力も少ない」といった事前報道が当初は多かったと記憶している。
しかし、「戦争」という形になってしまうと、なかなか止めるのが難しい。プーチンから引き継いだ人にはさらに困難だ。生まれた時から戦争、というような国民の場合には、おそらく解決の糸口はなかなか見つけられないだろう。合理的に考え、ロシアという国の将来を考えると、必ず「出口」が必要となる。おそらく、誰かを、あるいは何かを犠牲にして・・・。
「戦勝国の会議」である、国連安保理の常任理事国の紛争は、世界秩序に大きな影響を与えるだろう。「戦争」となると尚更だ。世界には少なからず戦争を望む声がある。誰もが「勝者のテーブル」につきたいし、勝ち馬に乗るために皆がこぞって準備を始めている。いわゆる「パールハーバー待ち」という状況だ。カオス理論でも、これまでの歴史においても、何かをきっかけに怒涛のように雪崩が起きることがある。
日本も、したたかに北方領土を超えて、少なくともサハリンの油田まで(中国と北朝鮮には緩衝地帯を設けて、できれば北極の一部と北方航路や港も)取り込む準備をして欲しい。「世界のエネルギー価格の高騰に歯止めをかけ、安定したエネルギー供給を行う」という名目で。そうなれば、念願の産油国となれる。(短期的なエネルギー問題の解決)
「唯一の核被爆国であり、最も自然災害経験の豊富な国として、ウクライナの原発を援助および管理する」ことも、今後のユーラシア大陸での原発受注を国家戦略として行う足がかりとなろう。大陸間プレートの境界線上の日本での原発稼働は、安全面でリスクを伴うことはすでに明白である。大陸の原発で電気を作り、日本へ送れば良いのである。(長期的なエネルギー問題の解決)
おそらく、もっとも勝ったものがユーラシア大陸の原発群による送電線ネットワークを手にするに違いない。(このインフラには、会社や工場、家、車、家電といった情報もたっぷり含まれている)そして、シベリアには、世界で管理する核処分場が建設されることになるかもしれない。
現状は、「本当はやめたいプーチン」vs「戦争に持ち込みたい欧米」という構図である。しかも、彼一人にしかやめられないのだ。彼はどんな姿で最後を迎えるのか?私は賢明なプーチンを、そこで見たい。