膝蓋骨は膝関節の前方に位置し、人体の中で最大の種子骨であり、近位には膝伸展機構である大腿四頭筋が、遠位では膝蓋腱から脛骨結節へとつながっています。

皮膚からすぐ下にあるため、直接の外力を受けやすく、膝から落ちて強打したり、ダッシュボード損傷などの直達外力で発生します。

膝蓋骨骨折では、関節は大きく腫れ、膝蓋骨の圧痛、歩行困難を生じ、皮下にくぼみ（陥凹）を認めます。横骨折で転位がある場合には、自分で膝を伸ばすことができなくなります。転位の小さい縦骨折では、膝の伸展が可能な場合もありますので注意が必要です。また、皮下すぐにあるため開放骨折になる可能性もあり、対応が大きく変わってくる場合もあります。キズ（挫創）がある場合には、関節内に空気の混入がないか、すなわち開放骨折がないかを注意して確認します。

単独損傷が多いのですが、交通事故などの高エネルギー外傷の場合には、大腿骨顆部骨折や脛骨近位端骨折などを合併して予後不良因子となる場合もあります。

二分膝蓋骨との鑑別が必要です。二分膝蓋骨は、幼児期に２つの骨核が1つに癒合するのが阻害されて、2つに別れたままになっているもので骨折ではありません。多くは外上方にみられ、骨折とは異なり、境界が丸みを帯びており、腫脹や圧痛がなく無症候性ですが、スポーツなどで有痛性となった場合には治療の対象となります。