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医療コラム

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脳挫傷とは?交通事故で頭を打ったときの症状と回復までの流れ

脳挫傷とは?交通事故で頭を打ったときの症状と回復までの流れ

交通事故で頭部を強く打ったとき、脳そのものが傷つく「脳挫傷」は、打撲やむちうちとはまったく異なる深刻な怪我です。脳挫傷は受傷直後だけでなく、数時間から数日かけて症状が悪化する場合があり、早期の診断と適切な治療が生命と回復を左右します。

この記事では、脳挫傷の仕組みから症状、治療、リハビリ、後遺障害認定まで、交通事故後に知っておくべきことを解説します。

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脳挫傷とはどのような怪我か

脳挫傷とはどのような怪我か

脳挫傷は外傷性脳損傷の一つですが、脳震盪(のうしんとう)とは損傷の深さが根本的に異なります。

脳挫傷の仕組みと脳震盪との違い

脳挫傷とは、頭部に加わった強い外力によって脳の組織そのものが損傷を受けた状態です。交通事故では、車同士の衝突や歩行者が車にはねられた際の衝撃で頭蓋骨の中の脳が激しく揺さぶられ、脳が頭蓋骨の内壁にぶつかることで損傷が生じます。

脳震盪は一時的に脳の機能が乱れる状態であり、脳の構造には大きな損傷が残りません。一方、脳挫傷では脳組織が物理的に壊れているため、CTやMRIの画像上でも出血やむくみとして確認できます。脳震盪は数日から数週間で症状が消えることが多いのに対し、脳挫傷は損傷の程度によって数ヶ月から年単位の治療が必要になります。

交通事故で脳挫傷が起きやすい場面

交通事故の中でも、特にリスクが高いのは以下のケースです。

  • 車同士の正面衝突や追突で頭部がハンドル・ダッシュボード・窓ガラスに直接ぶつかった場合
  • バイクや自転車での事故で地面に頭部を打ちつけた場合
  • 歩行者がはねられて転倒し、後頭部をアスファルトに打った場合

頭蓋骨が骨折していなくても脳挫傷は起こります。頭蓋骨の中で脳が大きく揺れることで、衝撃を受けた側の反対側に損傷が生じるケース(対側損傷)もあり、「打った場所が痛いだけ」と思い込んで受診が遅れるのは危険です。

交通事故による脳挫傷の主な症状と経過

交通事故による脳挫傷の主な症状と経過

脳挫傷の症状は損傷の場所と大きさによって大きく異なります。同じ「脳挫傷」でも、軽症と重症では経過がまったく違うため、自分や家族がどの段階にいるかを把握することが重要です。

受傷直後に現れる症状

事故直後に現れやすい症状には、激しい頭痛、吐き気や嘔吐、意識の混濁(ぼんやりする、呼びかけに反応が鈍い)があります。重症の場合は受傷直後から意識を失い、そのまま意識が戻らないこともあります。手足の麻痺や言葉が出にくくなる症状、けいれん発作が起きることもあり、いずれも脳の損傷部位が運動や言語を担う領域にかかっているサインです。

ここで注意すべきは、脳挫傷は受傷後数時間から数日かけて悪化する場合があるという点です。事故直後は意識がはっきりしていたのに、翌日になって急に意識レベルが下がるケースがあります。これは脳の腫れ(脳浮腫)や出血が時間をかけて広がるためで、「最初は大丈夫だった」は安全を意味しません。

損傷部位で異なる症状のパターン

損傷を受けた部位によって現れる症状が変わります。交通事故では前頭葉と側頭葉が傷つきやすく、どの部分が損傷したかを知ることが回復の見通しを理解する手がかりになります。

損傷部位 主な症状
前頭葉 判断力の低下、感情のコントロールが難しくなる、性格・行動面の変化
側頭葉 記憶障害(新しいことが覚えられない、同じことを繰り返し聞く)
後頭葉 視野が狭くなる、視界の一部が見えなくなる
小脳 バランス感覚の低下、歩行のふらつき

これらの症状は複数が同時に現れることも珍しくありません。家族から見て「事故の前と性格が変わった」「物忘れがひどくなった」といった変化は、脳挫傷による高次脳機能障害の可能性を示す重要なサインです。

交通事故による脳挫傷の検査と急性期の治療

交通事故による脳挫傷の検査と急性期の治療

脳挫傷が疑われる場合、画像検査による迅速な診断が治療方針を決める起点になります。

CT検査とMRI検査の役割

交通事故で頭部を打ったとき、救急の現場でまず行われるのがCT検査です。CTは短時間で撮影でき、脳内の出血や骨折の有無を速やかに確認できるため、緊急度の高い場面に適しています。脳挫傷が起きているかどうか、出血がどの程度広がっているかをCTでまず把握し、手術の必要性を判断します。

一方、MRI検査はCTでは見つけにくい微細な脳損傷の検出に優れています。とくに「びまん性軸索損傷」と呼ばれる、出血を伴わないが脳の神経線維が広範囲に傷つくタイプの損傷はCTでは写りにくく、MRIのDWI(拡散強調画像)やFLAIR画像で初めて確認できることがあります。急性期が落ち着いた段階でMRI検査を追加することで、損傷の全体像をより正確に把握でき、後の後遺障害認定にも重要な資料となります。

急性期の治療方針

脳挫傷の治療は、損傷の程度によって大きく分かれます。

軽症(脳挫傷の範囲が小さく、意識レベルに問題がない場合)では、入院して経過を観察するのが基本です。脳浮腫を抑える薬物治療を行いながら、CTを繰り返し撮影して出血や腫れが拡大していないかを確認します。

中等症〜重症(出血が広がっている、意識障害が強い場合)では、開頭手術によって損傷した脳組織や血腫を除去し、脳にかかっている圧力を下げる処置(外減圧術)が必要になることがあります。外科的処置はあくまで、壊れた脳組織の機能を回復させるものではなく、生命を守るための治療です。そのため、命を救った後のリハビリテーションが回復の鍵を握ります。

交通事故による脳挫傷のリハビリテーションと回復の見通し

交通事故による脳挫傷のリハビリテーションと回復の見通し

脳挫傷の回復は「壊れた部分を修復する」のではなく、「脳の他の領域が失われた機能を代わりに引き受ける」というプロセスで進みます。これを脳の可塑性(かそせい)と呼び、リハビリテーションはこの可塑性を最大限に引き出すために行います。

急性期・回復期・生活期の3段階

脳挫傷のリハビリテーションは、段階ごとに目的と内容が異なります。

段階 時期の目安 主な目的 内容
急性期 受傷直後〜3ヶ月程度 生命の安定・廃用予防 ベッド上での姿勢管理、関節が固まるのを防ぐ運動、ベッドから起き上がる訓練
回復期 3〜6ヶ月程度 機能回復の促進 理学療法・作業療法・言語聴覚療法・認知リハビリ
生活期 6ヶ月以降 日常生活・社会復帰 生活動作の訓練、就労支援、家族指導

回復期(受傷後3〜6ヶ月程度)は脳の可塑性が最も高まる時期であり、この期間に集中的なリハビリテーションを行うことが回復の質に大きく影響します。

リハビリの具体的な内容

脳挫傷後のリハビリテーションでは、複数のアプローチを組み合わせます。

運動機能のリハビリでは、理学療法士が麻痺や筋力低下に対するトレーニングを行い、歩行や立ち座りの動作を回復させていきます。作業療法では、食事・着替え・入浴といった日常生活の動作を再獲得するための訓練を実施します。

高次脳機能障害がある場合は、認知機能のリハビリが加わります。記憶障害に対しては「メモを取る習慣をつける」「手順を簡単な情報に分けて繰り返し練習する」といった代償手段を身につけるトレーニングが行われます。注意力の低下に対しては、単純な課題から始めて徐々に複雑な課題へ段階を上げていく方法が取られます。

回復にかかる期間の目安

回復の経過には個人差が大きく、損傷の程度、年齢、意識障害の持続期間、リハビリの開始時期によって異なります。一般的な傾向として、受傷後6ヶ月までは比較的早いペースで神経学的な回復が進み、6ヶ月を過ぎると回復のスピードは緩やかになりますが、1年程度までは改善が見られることが多いです。

社会性の回復(対人関係の適切さや職場での振る舞い)に関しては、さらに長い年月をかけて改善が続く場合もあります。「半年過ぎたから、もうこれ以上は良くならない」と決めつける必要はありません。

ただし、初期の意識障害が長かった場合や高次脳機能障害の程度が大きい場合には、後遺症が残る可能性が高くなります。回復の限界は一律に決まるものではなく、リハビリの継続が長期的な改善につながるケースも少なくありません。

参考:外傷性脳損傷のリハビリテーション | KOMPAS 慶應義塾大学病院

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交通事故による脳挫傷の後遺障害認定

交通事故による脳挫傷の後遺障害認定

脳挫傷の治療を続けても症状が一定以上回復しない段階に達すると、「症状固定」として後遺障害の認定を受けることになります。交通事故の場合、この認定は自賠責保険の賠償額を左右する重要なプロセスです。

脳挫傷で認定される可能性がある後遺障害等級

脳挫傷の後遺症の中で最も多く認定されるのが「高次脳機能障害」です。認知機能や行動面の障害の程度に応じて、以下のような等級が該当します。

等級 認定の目安
1級1号 食事・排泄など日常生活に常に介護が必要
2級1号 日常生活に随時介護が必要
3級3号 働くことができない状態が生涯続く
5級2号 働けるが、職場での理解や援助が欠かせない
7級4号 約束を忘れる・ミスが極端に多いなど日常生活に支障がある
9級10号 通常の仕事にも問題が生じる
12級13号 局部に頑固な神経症状が残る
14級9号 局部に神経症状が残る

認定を受けるために必要なこと

高次脳機能障害の後遺障害認定は、通常の後遺障害申請よりも求められる書類や検査が多くなります。

医師が作成する「後遺障害診断書」に加えて、「意識障害の所見」と「神経系統の医学的意見」の提出が必要です。さらに、WAIS(知能検査)やWMS(記憶検査)といった神経心理学的検査の結果、そしてCTやMRIの画像資料も提出します。

家族の協力も欠かせません。「日常生活状況報告」という書類で、事故前と事故後の行動面・性格面の変化を家族が具体的に記載する必要があります。高次脳機能障害は本人に自覚が乏しいことが多く、家族から見た変化の記録が認定の決め手になるケースも少なくありません。

後遺障害認定の手続きに不安がある場合は、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

参考:脳外傷による高次脳機能障害の後遺障害認定 | 損害保険料率算出機構

交通事故による脳挫傷に関するよくある質問

交通事故による脳挫傷に関するよくある質問

脳挫傷の入院期間はどのくらいですか?

損傷の程度によって大きく異なります。軽症で意識障害がなく経過観察のみの場合は1〜2週間程度で退院できることもありますが、手術を要する重症例やリハビリが必要な場合は1ヶ月以上の入院になることもあります。退院後も外来でのリハビリ通院が続くケースが一般的です。

脳挫傷と診断された後、整形外科にかかる必要はありますか?

交通事故では脳挫傷と同時に、頚椎や腰椎の損傷、骨折、打撲など整形外科的な怪我を負っていることが少なくありません。脳神経外科で脳挫傷の治療を進めながら、整形外科で全身の骨・関節・筋肉の状態を評価し、それぞれに適切な治療とリハビリを受けることが大切です。

家族が脳挫傷の患者の回復を支えるためにできることはありますか?

高次脳機能障害では本人に自覚が乏しいことが多いため、事故前と比べて「怒りっぽくなった」「同じことを何度も聞く」といった変化を具体的に記録しておいてください。この記録は後遺障害認定の「日常生活状況報告」でも使えます。

日常生活では、伝える情報を一度に一つに絞る、メモやホワイトボードを活用するなどの工夫が、本人の混乱を減らすうえで有効です。

脳挫傷の治療費は自賠責保険でカバーされますか?

交通事故による脳挫傷の治療費は、自賠責保険の補償対象になります。加害者側の任意保険会社が一括対応してくれる場合、窓口での自己負担は原則発生しません。ただし、自賠責保険の傷害部分の上限は120万円であり、脳挫傷のように入院やリハビリが長期化するケースでは上限を超える可能性があります。

その場合は任意保険や弁護士を通じた請求が必要になるため、早めに保険の枠組みを確認しておくことをおすすめします。

まとめ

まとめ

脳挫傷は脳震盪とは異なり脳組織そのものが損傷する怪我で、症状は事故直後ではなく数時間から数日かけて悪化することがあります。頭部に強い衝撃を受けたら、症状の有無にかかわらずできるだけ早くCT検査を受けることが、重症化の見逃しを防ぐ鍵です。

脳神経外科での治療と並行して、首・腰・手足の骨折や打撲、全身のリハビリが必要な場合は、品川大井町整形外科・リハビリクリニックにご相談ください。整形外科専門医・リハビリテーション科専門医の資格を持つ医師が、診断から理学療法士による個別リハビリまで一貫して対応します。

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この記事の監修者

品川大井町整形外科 リハビリクリニック

院長 福山泰平

当院では、整骨院や接骨院、整体・マッサージなどではできない、交通事故の専門治療プログラムを行っています。充実した機器と広いリハビリ設備を完備しておりますので、どうぞ、安心してご来院ください。

経歴
神戸大学医学部 卒業
神戸大学医学部大学院(医学系研究科)修了
大阪大学医学部大学院(医学系研究科)特別研究生
M.D. & Ph.D. 取得
神戸大学医学部附属病院 勤務
神戸労災病院 勤務
三菱神戸病院 勤務
資格・認定
日本整形外科学会認定 整形外科専門医
日本整形外科学会認定 リウマチ医
日本整形外科学会認定 リハビリ医
日本運動器科学会 リハビリ指導医

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