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医療コラム

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交通事故後の吐き気はなぜ起きる?原因と整形外科での検査・治療

交通事故後の吐き気はなぜ起きる?原因と整形外科での検査・治療

交通事故のあと、首や腰の痛みだけでなく「気持ち悪い」「吐き気がする」という症状に戸惑う方は少なくありません。吐き気は一見すると事故とは無関係に思えますが、首の損傷が自律神経に影響を及ぼすことで起きるケースが多く、放置すると症状が長引くことがあります。

この記事では、整形外科専門医の視点から、交通事故後の吐き気の原因、必要な検査、治療の進め方を解説します。

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交通事故後に吐き気が起きる原因

交通事故後に吐き気が起きる原因

交通事故の吐き気は多くの場合、首のケガが引き金になって自律神経のバランスが崩れることで起きています。原因は大きく分けて3つあります。

むちうち(頚椎捻挫)による自律神経の乱れ

交通事故後の吐き気で最も多い原因が、むちうちです。事故の衝撃で首が前後に大きく振られると、頚椎(首の骨)まわりの筋肉や靭帯が損傷します。首には交感神経や副交感神経が集中しているため、この損傷が自律神経のバランスを崩し、消化器の働きを乱します。

その結果、首のケガが吐き気や気持ち悪さとして現れるのです。

特に「バレ・リュー症候群」と呼ばれる状態では、頚椎の損傷が交感神経を直接刺激し、頭痛・めまい・吐き気・耳鳴りといった複数の症状が同時に出ます。事故直後ではなく、数日から2週間ほど経ってから症状が強くなる点が特徴で、「事故からしばらく経っているのになぜ気持ち悪いのか」と不安になる方が多いのはこのためです。

脳震盪や頭部への衝撃

事故の際に頭をぶつけた場合や、頭をぶつけていなくても脳が頭蓋骨の中で揺さぶられた場合に、脳震盪(のうしんとう)が起きることがあります。脳震盪では吐き気のほかに頭痛やぼんやりした感覚、記憶があいまいになるといった症状が出ます。脳そのものの問題であるため、早期に脳の損傷を鑑別する検査が必要です。

脳震盪は軽症であれば数日で回復しますが、症状が長引く場合は脳神経外科への紹介が必要になることもあります。「頭は打っていないから大丈夫」と思い込まず、吐き気がある時点で医師に伝えることが大切です。

脳脊髄液減少症の可能性

頻度は高くありませんが、事故の衝撃で脳脊髄液が漏れ出す「脳脊髄液減少症(のうせきずいえきげんしょうしょう)」が吐き気の原因になることがあります。脳脊髄液は脳と脊髄を包んでいる液体で、これが減少すると脳の位置が下がり、起き上がったときに強い頭痛と吐き気が出ます。横になると楽になるのが特徴です。

通常のむちうち治療を続けても改善しないケースでは、この疾患を疑って専門的な検査を行う場合があります。

交通事故後に吐き気がある場合に整形外科で行う検査

交通事故後に吐き気がある場合に整形外科で行う検査

吐き気の原因を特定するためには、まず整形外科で頚椎や頭部の状態を確認します。「吐き気だけで整形外科に行っていいのか」と迷う方がいますが、交通事故後の吐き気は首や頭の損傷から来ていることが多いため、整形外科が最初の受診先として適切です。

レントゲンとMRI

レントゲンでは、頚椎の骨に異常(骨折やズレ)がないかを確認します。ただし、レントゲンだけでは筋肉・靭帯・椎間板の損傷や、神経への影響は写りません。そこでMRI検査を行い、軟部組織の状態や椎間板の損傷、神経への圧迫がないかを詳しく調べます。

吐き気がバレ・リュー症候群のように自律神経に起因する場合、レントゲンでは異常が見つからないことが珍しくありません。「レントゲンで異常なし」でもMRIで損傷が確認されるケースがあるため、症状が続く場合はMRI検査が重要になります。

神経学的な診察

画像検査に加えて、医師が手や器具を使って行う神経学的な診察も欠かせません。首の可動域の確認、腕や手のしびれの有無、反射の左右差などを調べることで、どの神経が影響を受けているかを推定します。吐き気が自律神経の問題なのか、脳への影響なのかを判断するうえで、この診察が画像検査の結果を補完します。

頭部への衝撃が疑われる場合は、CT撮影で頭蓋内の出血がないかを確認したり、脳神経外科への紹介を行う場合もあります。

交通事故後の吐き気に対する治療とリハビリ

交通事故後の吐き気に対する治療とリハビリ

吐き気の治療は、原因に応じたアプローチが基本です。「吐き気止めを飲んで様子を見る」だけでは根本的な改善につながりにくいため、原因となっている首の損傷や自律神経の乱れに対して直接アプローチします。

投薬

吐き気が強く日常生活に支障がある場合は、まず吐き気止めで症状を抑えます。首まわりの筋肉が過度に緊張して神経を刺激しているケースでは、筋弛緩薬で緊張をほぐすことで吐き気の原因そのものを和らげます。バレ・リュー症候群が疑われるケースでは、自律神経の調整を助けるビタミン剤(ビタミンB12など)が処方されることもあります。

ただし、薬はあくまで症状を抑える役割です。薬で吐き気を抑えながら、並行してリハビリで根本原因に対処することが回復を早めます。

星状神経節ブロック注射

バレ・リュー症候群で自律神経の症状が強い場合、星状神経節ブロック注射という治療法があります。首の前面にある交感神経の集まり(星状神経節)に局所麻酔薬を注入し、交感神経の過剰な興奮を一時的に抑えます。これにより自律神経のバランスが改善し、頭痛・めまい・吐き気の症状が和らぎます。

この治療はペインクリニックや一部の整形外科で行われており、症状が強い場合は紹介で専門の医療機関を受診する選択肢もあります。

リハビリテーション

整形外科でのリハビリは、理学療法士がマンツーマンで行う運動療法と、物理療法を組み合わせて進めます。首まわりの筋肉の緊張が自律神経に影響を与えている場合、頸部の筋肉を段階的にほぐし、可動域を回復させていくことで、吐き気の軽減につながります。

具体的には、首や肩甲骨まわりのストレッチ、姿勢の改善を目的とした運動、温熱療法や低周波治療といった物理療法を組み合わせます。事故直後の急性期(受傷から2〜4週間程度)は安静が基本ですが、痛みが落ち着いてきたタイミングで早期にリハビリを開始するほうが回復が早いことがわかっています。

交通事故後の吐き気はいつまで続くのか

交通事故後の吐き気はいつまで続くのか

軽度のむちうちであれば、数日から2〜3週間程度で吐き気は改善することが多いです。

ただし、バレ・リュー症候群や脳脊髄液減少症が原因の場合は、治療を続けても3〜6ヶ月程度かかるケースがあります。通常のむちうち治療で1ヶ月以上経っても吐き気が改善しない場合は、原因の再評価が必要です。漫然と同じ治療を続けるのではなく、追加の検査や治療方針の見直しを担当医に相談してください。

回復の目安に幅がある理由は、頚椎の損傷の程度、自律神経への影響の大きさ、そして治療の開始時期が人によって違うからです。事故後すぐに受診し適切な治療を始めた方と、「そのうち治るだろう」と数週間放置した方では、回復までの期間に差が出ます。

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交通事故後の吐き気で注意すべきこと

交通事故後の吐き気で注意すべきこと

受診のタイミングや通院先の選び方を間違えると、症状の回復にも保険の手続きにも影響が出ます。以下の3点を押さえておいてください。

事故後すぐに症状が出なくても受診する

交通事故後の吐き気は、事故当日ではなく翌日以降に出てくることが珍しくありません。事故直後はアドレナリンが分泌されて痛みや不調を感じにくくなっているためです。数日後に吐き気が始まった場合でも、事故との因果関係が認められる症状ですので、できるだけ早く受診してください。

受診が遅れると、事故との因果関係の証明が難しくなり、自賠責保険で治療費がカバーされなくなるリスクがあります。事故から2〜3日以内には必ず医療機関を受診することが、治療面でも補償面でも重要です。

自己判断で市販薬だけで対処しない

吐き気が出たときに市販の酔い止めや胃薬で対処しようとする方がいますが、交通事故による吐き気は胃の問題ではないため、市販薬では根本的に改善しません。むしろ、市販薬で症状が一時的に和らぐことで受診が遅れ、治療の開始が遅くなる方が問題です。

また、交通事故後の吐き気に加えて以下の症状がある場合は、脳への影響が疑われるため、速やかに救急を受診してください。

  • 激しい頭痛が続く
  • 意識がもうろうとする
  • 嘔吐を繰り返す
  • 手足のしびれやまひがある
  • 物が二重に見える

整形外科と接骨院の違いを知っておく

交通事故後に吐き気がある場合、接骨院(整骨院)ではなく整形外科を受診することをおすすめします。接骨院は柔道整復師による施術を行う場所で、レントゲンやMRIによる画像診断ができません。吐き気の原因が脳震盪や脳脊髄液減少症である可能性を考えると、まず整形外科で原因を特定し、そのうえで必要に応じて接骨院と併用するという順番が基本となります。

特に自賠責保険を使う場合、最初に医師の診断を受けていることが治療費支払いの前提になります。

交通事故の吐き気に関するよくある質問

交通事故の吐き気に関するよくある質問

吐き気だけで交通事故の保険は使えますか?

使えます。吐き気がむちうちや頭部外傷に起因する症状であれば、自賠責保険の対象です。保険を使うためには、整形外科で診察を受けて「事故による症状である」という診断書を作成してもらう必要があります。

吐き気があるときに食事で気をつけることはありますか?

一度に多く食べると胃が膨らんで吐き気を誘発しやすいため、1回の量を減らして回数を分ける食べ方が比較的楽です。消化に負担のかからないおかゆやスープ、うどんなどを中心にし、脂っこい食事や刺激の強い食べ物は吐き気が落ち着くまで控えてください。

水分補給は少量ずつこまめに摂るのがポイントで、脱水を防ぐことが体の回復を助けます。

吐き気が後遺症として残ることはありますか?

適切な治療を受ければ多くの方は改善します。6ヶ月以上治療を続けても吐き気が残る場合は、後遺障害として認定される可能性があります。後遺障害の認定には、医師の診断書のほか、MRI画像や神経学的検査の記録など、客観的な医学的資料が重要になります。

まとめ

まとめ

交通事故後の吐き気は、むちうちによる自律神経の乱れ、脳震盪、脳脊髄液減少症など、首や頭の損傷から起きている症状です。「胃の調子が悪いだけだろう」と自己判断せず、整形外科でレントゲンやMRIによる原因の特定を受けることが回復への第一歩になります。

品川大井町整形外科・リハビリクリニックでは、交通事故によるむちうちや吐き気の症状に対して、整形外科専門医による診断とリハビリテーションを行っています。院内でのレントゲン検査のほか、提携先の病院でのMRI・CT撮影にも対応しており、自賠責保険での治療が可能です。事故後の体調不良でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

交通事故に遭われたら、まずはご相談ください

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この記事の監修者

品川大井町整形外科 リハビリクリニック

院長 福山泰平

当院では、整骨院や接骨院、整体・マッサージなどではできない、交通事故の専門治療プログラムを行っています。充実した機器と広いリハビリ設備を完備しておりますので、どうぞ、安心してご来院ください。

経歴
神戸大学医学部 卒業
神戸大学医学部大学院(医学系研究科)修了
大阪大学医学部大学院(医学系研究科)特別研究生
M.D. & Ph.D. 取得
神戸大学医学部附属病院 勤務
神戸労災病院 勤務
三菱神戸病院 勤務
資格・認定
日本整形外科学会認定 整形外科専門医
日本整形外科学会認定 リウマチ医
日本整形外科学会認定 リハビリ医
日本運動器科学会 リハビリ指導医

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