交通事故の後は何日以内に病院へ行くべき?受診の目安と整形外科での流れ
- 2026年7月1日
- 交通事故
交通事故に遭った直後は、体が興奮状態にあるため痛みを感じにくく、「大したことはない」と思ってしまうことが少なくありません。しかし整形外科の現場では、事故から数日後に首や腰の痛みが強まり、慌てて受診される方を数多く診ています。受診のタイミングが遅れるほど、体の回復にも、事故後の補償手続きにも不利に働きます。
交通事故の後は何日以内に病院へ行けばよいか
結論から言えば、事故当日、遅くとも2〜3日以内に整形外科を受診するのが基本です。以下では、この期限の根拠を医学面と手続き面の両方から整理します。
事故当日の受診が望ましい理由
交通事故で体に衝撃を受けたとき、アドレナリンが大量に分泌されて痛みの感覚が鈍くなります。事故直後に「どこも痛くない」と感じるのはこの仕組みによるもので、実際にケガがないことを意味しません。事故当日であれば、事故と体の異常との結びつき(因果関係)が最も明確な状態で医師の診察を受けられます。
レントゲンやMRIといった画像検査で骨や靭帯の状態を記録に残しておけば、後から症状が出てきた場合にも「事故の時点ですでに異常があった」と客観的に証明できます。
遅くとも2〜3日以内が限度である根拠
むちうち(頚椎捻挫)をはじめとする交通事故のケガは、受傷後72時間(3日)以内に症状が出そろうケースが大半です。3日以内に受診していれば、症状と事故との因果関係が争われる可能性は低くなります。逆に、1週間を超えてから初めて受診すると「本当に事故で痛めたのか」を問われるケースが増え、自賠責保険の審査でも因果関係が認められにくくなります。
10日を超えると慰謝料で不利になる
警察に診断書を提出して「物損事故」から「人身事故」に切り替える手続きは、事故発生から10日以内が一つの目安です。提出が遅れると、警察がケガと事故の因果関係を認めず、診断書を受理しない場合があります。人身事故への切り替えができないと、実況見分調書(事故状況を記録した書類)が作成されないため、後日の損害賠償請求や後遺障害の認定で不利になる可能性があります。
交通事故の後に病院で受ける検査と治療の流れ
交通事故の初診では、事故の状況確認から検査・診断・治療開始までを一度の受診で進めます。
初診で行う検査の内容
まず、事故の状況(正面衝突か追突か、ぶつかったときの体勢など)を問診で確認します。これは、衝撃の方向によって損傷しやすい部位が異なるためです。追突事故であれば首や腰、側面衝突であれば肩や肋骨を重点的に診ます。
検査はレントゲン撮影から始めるのが一般的です。骨折や骨のずれを確認し、必要に応じてMRIやCT撮影で骨以外の組織(靭帯、椎間板、神経)の状態も調べます。超音波(エコー)検査で筋肉や腱の損傷を確認することもあります。
レントゲンだけでなく複数の検査を組み合わせることで、見落としを防ぐことができます。
診断書の作成と提出先
検査結果をもとに、医師が診断書を作成します。この診断書は2つの目的で使います。
1つ目は警察への提出です。事故を「物損事故」のまま放置すると、ケガをした事実が公的な記録に残りません。診断書を警察に提出して人身事故に切り替えることで、実況見分調書が作成され、損害賠償請求の際に有利な証拠資料になります。
2つ目は保険会社への提出です。加害者側の任意保険会社や自賠責保険に対して治療費や慰謝料を請求するには、医師が作成した診断書が必要になります。整骨院(接骨院)では診断書を発行できないため、最初に整形外科を受診することが重要です。
治療とリハビリの進め方
事故直後の急性期(受傷から1〜2週間程度)は、痛みや炎症を抑える治療が中心です。鎮痛薬の処方、頚椎カラー(首を固定する装具)の装着、物理療法(温熱・電気刺激など)を症状に合わせて組み合わせます。
急性期を過ぎたら、リハビリテーション(理学療法)に移行します。理学療法士による運動療法やストレッチで、固まった筋肉の柔軟性を回復させ、痛みの再発を予防します。通院の頻度は症状の程度によりますが、一般的には週2〜3回程度、3〜6ヶ月間の通院が目安です。
交通事故治療における整形外科と整骨院の違い
結論から言えば、どちらか一方を選ぶものではなく、それぞれの得意分野を活かして使い分けるのが合理的です。
整形外科は検査と診断が専門です。レントゲン・MRI・CTで骨や靭帯の状態を画像で確認でき、診断書や後遺障害診断書の作成も医師が行います。投薬や注射による痛みのコントロールも整形外科の領域です。
整骨院(接骨院)は、柔道整復師による手技療法やストレッチが中心で、筋肉のこわばりや関節の動きにくさといった症状のケアを得意としています。夜間や土日に対応している院も多く、仕事帰りに通いやすい点もメリットです。
初診は整形外科で検査と診断を受け、必要に応じて整骨院でのケアを併用するのがスムーズな流れです。整形外科での画像検査が先にあることで、整骨院側も損傷の状態を把握したうえで施術できます。併用する場合は、月1〜2回は整形外科にも通い、回復の経過を医師に診てもらうようにしてください。
交通事故の治療費は誰が払うのか
交通事故で整形外科を受診する際、治療費の負担を心配される方は少なくありません。支払いの仕組みを知っておけば、費用面の不安なく治療に専念できます。
自賠責保険で治療費が支払われる仕組み
交通事故の被害者が整形外科で受ける治療費は、基本的に加害者側の自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)から支払われます。自賠責保険はすべての自動車に加入が義務づけられている保険で、被害者のケガに対して治療費・通院交通費・慰謝料などを補償します。
加害者側の任意保険会社が窓口になる一括対応の場合、被害者が窓口で治療費を立て替える必要はなく、保険会社から医療機関に直接支払われるのが一般的です。一括対応の手続きが済むまでの間に立て替えが発生した場合も、領収書を保管しておけば後から請求できます。
治療費を自分で立て替える場合の対応
事故直後は加害者側の保険会社との手続きが済んでいないことがあります。この場合、いったん健康保険を使って受診し、後から自賠責保険に切り替える方法もあります。健康保険を使う場合は、加入先の健康保険組合や協会けんぽに「第三者行為による傷病届」を提出する必要があります。
いずれの方法でも、治療費は最終的に加害者側の保険で賄われるため、費用を理由に受診を先延ばしにする必要はないという点を覚えておいてください。
交通事故の通院に関するよくある質問
事故当日、保険会社とのやりとりが済んでいなくても受診できますか?
受診できます。事故当日は保険会社への連絡や手続きが終わっていないのが普通ですが、受診を待つ必要はありません。まずは整形外科を受診し、保険の手続きは後から進めれば問題ありません。
保険会社の一括対応が始まる前であっても、いったん健康保険で受診しておき、後から自賠責保険に切り替えることもできます。
物損事故のまま通院を続けることはできますか?
通院自体は可能ですが、物損事故のままでは自賠責保険への被害者請求で不利になる場合があります。人身事故に切り替えることで実況見分調書が作成され、損害賠償請求や後遺障害認定の際に有利になります。切り替えの目安は事故から10日以内ですので、ケガがある場合は早めに診断書を持って警察へ届け出てください。
事故直後、救急車を呼ぶべきか自分で病院に行くべきか迷ったらどうすればよいですか?
頭痛・吐き気・意識のもうろう・胸の痛み・出血が止まらないなどの症状がある場合は迷わず救急車を呼んでください。これらの症状がなく自力で動ける場合は、自分で整形外科を受診して構いません。判断に迷うときは救急安心センター(#7119)に電話すると、医療の専門スタッフが救急車を呼ぶべきかどうかをアドバイスしてくれます。
事故から1週間以上経ってしまいましたが、今から受診しても意味はありますか?
あります。受診は早いほど有利ですが、1週間を過ぎたからといって治療を受けられなくなるわけではありません。痛みやしびれがあるなら、今の症状を医師に診てもらい、画像検査で状態を記録しておくことに意味があります。
因果関係の証明は時間が経つほど難しくなりますが、「受診しない」よりは「遅れてでも受診する」方が、治療面でも補償面でも確実にプラスです。
まとめ
交通事故に遭ったら、痛みの有無にかかわらず、事故当日か遅くとも2〜3日以内に整形外科を受診してください。早期受診は、ケガの見落としを防ぐだけでなく、事故と症状の因果関係を医学的に記録する意味でも欠かせません。
治療費は自賠責保険で補償されるため、費用を心配して受診を遅らせる必要はありません。
大井町・品川区エリアで交通事故のケガにお悩みの方は、品川大井町整形外科・リハビリクリニックにご相談ください。院内でのレントゲン検査に加え、提携先の病院でのMRI・CT撮影にも対応しており、理学療法士によるリハビリテーションまで、事故後の治療を一貫して受けていただけます。