痛風
- 2022年6月11日
- 整形外科
血中の尿酸値が高い状態が続き、尿酸が関節内で尿酸塩という結晶となって溜まることで、関節に激しい痛みを起こした状態を痛風と言います。激しい痛みのほか、腎臓機能障害をもたらす疾患とされています。中年の男性がほとんどで、95%は男性です。また、女性ホルモンであるエストロゲンには、尿酸排泄を促す役割があるため、女性の場合はエストロゲン分泌が低下する閉経期以降、血中に尿酸が溜まりやすくなり発症することがあります。
原因
痛風は、高尿酸血症に起因する疾患です。高尿酸血症は男性の20~30%に認められます。主な要因は食生活の欧米化やアルコールの多量摂取です。特に過食など高カロリーの食事は尿酸値を上げてしまいます。尿酸は、プリン体が分解されて発生する物質です。プリン体を多く含む食事を続けることで、代謝経路に異常が起きて、次第に体内のプリン体が溜まっていきます。これが分解されるときに尿酸が作られます。果糖とされる果物の過剰摂取やアルコールの過剰摂取・過度のストレスや運動も尿酸値を高めるので注意が必要です。
症状
痛風発作が起きると、手足の関節に熱感と激しい痛みが現れます。半数は足の親指です。痛みは、耐え難いほどの激痛となるため、日常生活に支障をきたすこともあります。発作発症後およそ12時間で痛みのピークとなり、1~2週間ほどで痛みは自然となくなります。発作の発生には、脱水、アルコールやストレスが引き金となることが多いとされています。特に治療を行わずに痛風発作を繰り返すと、関節や耳たぶの下などに尿酸塩の結晶が生じてこぶのように腫れる痛風結節を招きます。また、尿酸値が高い状態が長く続くことで、腎臓に支障が生じて痛風腎を起こします。その他、尿路結石ができやすくなることもあります。
治療
痛風発作時の痛みを抑えるだけではなく、尿酸値を正常にコントロールすること、発作の発症や合併症を予防するために治療を行います。薬物療法を中心に、食事療法・アルコール制限・体重コントロール・適度な運動といったように生活習慣の改善が重要です。
薬物療法では、痛風発作に対する治療薬と、尿酸値をコントロールする薬を用います。発作が起こる直前には「予兆」といわれる、患部が疼いたり、腫れぼったく感じたりするので、予防薬を用いて発作を防ぐことも可能です。発作が起きた時は、非ステロイド性抗炎症薬を使用して消炎鎮痛を促します。また、尿酸排泄促進薬や尿酸合成阻害薬で尿酸値を下げたり、水分摂取を増やして尿量を増やすことで尿酸の腎臓沈着や、尿路結石の発症予防を行ったりします。
食事では、禁止となる食品はありませんが、アルコール・果糖・お肉や卵などの過剰摂取は禁物です。治療からドロップアウトする確率も高いため、気を付ける必要があります。