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医療コラム

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交通事故で肋骨骨折した場合の全治期間と回復までの流れ

交通事故で肋骨骨折した場合の全治期間と回復までの流れ

交通事故で肋骨を骨折した場合、「骨がつくまでの期間」と「日常生活や仕事に戻れるまでの期間」はイコールではありません。肋骨は呼吸のたびに動く骨であるため、他の部位の骨折とは回復の過程が異なります。骨のつき具合だけでなく、痛みの経過や合併症の有無、仕事復帰の見通しまで、回復の全体像をお伝えします。

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交通事故による肋骨骨折の全治期間の目安

交通事故による肋骨骨折の全治期間の目安

肋骨骨折の全治期間は、骨折の本数とズレの程度で大きく変わります。以下の表は、保存療法(手術をしない治療)を前提とした一般的な目安です。

骨折の程度 骨がつくまでの期間 通院を含む治療期間
ひび(不全骨折)・1本の単純骨折 約3週間 1〜2ヶ月程度
2〜3本の骨折・ズレが小さい 約1.5〜2ヶ月 2〜3ヶ月程度
多発骨折・ズレが大きい 2ヶ月以上 3〜4ヶ月以上

「骨がつく期間」と「全治」は違う

肋骨骨折では「骨癒合(こつゆごう)」と「全治」を混同しやすいので、整理しておきます。骨癒合とは、折れた骨に仮骨(新しい骨の組織)が形成され、レントゲンで骨がつながったことを確認できるまでの期間です。1本の単純骨折であれば、おおむね3週間で仮骨が現れ、そこからさらに数週間かけて強度が戻ります。

一方で全治とは、痛みが日常生活に支障のないレベルまで落ち着き、リハビリを経て事故前の状態に近い機能が戻るまでの期間です。骨がくっついてもしばらくは深呼吸や体をひねる動作で痛みが残ることが多く、骨癒合から全治までには1ヶ月前後のギャップがあります。

痛みのピークと回復の経過

肋骨骨折で最も痛みが強いのは、受傷から数日間です。胸に響くような鋭い痛みがあり、深呼吸・咳・くしゃみ・寝返りのたびに強くなります。

受傷後1〜2週間で、安静時の痛みは徐々に和らいできます。ただし、この時期に肋骨がわずかにずれると痛みがぶり返すことがあるため、「一度よくなったのにまた痛い」という経過は珍しくありません。3週間を過ぎるあたりから仮骨が形成されてくるため、動作時の痛みも軽くなってきます。

骨折部の違和感が完全に消えるまでには2〜3ヶ月かかるのが一般的です。「まだ少し痛い」と感じる時期は骨の修復がまだ進行中であるサインなので、自己判断で通院をやめず、レントゲンで経過を確認してもらうことが大切です。

肋骨骨折の重症度と治療方法

肋骨骨折の重症度と治療方法

肋骨骨折の治療は、大半が保存療法(手術をしない方法)で対応できます。ただし、骨折の本数や合併症の有無によって治療の内容は変わります。

保存療法が選択されるケース

肋骨が1〜2本折れていてズレが小さく、内臓への損傷がない場合は保存療法が基本です。具体的には、バストバンド(胸部固定帯)で胸郭の動きを抑え、骨折部が安定した状態で自然に癒合するのを待ちます。並行して、痛みのコントロールのために消炎鎮痛薬を使います。

保存療法は「何もしない」ではなく、痛みの管理と適切な固定で骨の修復環境を整える治療です。バストバンドを巻くことで呼吸時の胸の動きが制限され、骨折部への負荷が減るため痛みが軽減します。

手術が必要になるケース

多発肋骨骨折(3本以上)で骨が大きくずれている場合や、折れた肋骨の断端が肺を傷つけて気胸や血胸を起こしている場合には、手術が検討されます。特に、連続する3本以上の肋骨がそれぞれ2ヶ所以上で折れている「フレイルチェスト(動揺胸郭)」は、胸郭が安定を失い正常な呼吸ができなくなる重篤な状態であり、緊急の対応が必要です。

手術の場合はプレートやスクリューで骨を固定し、胸郭の安定性を回復させます。術後は入院とリハビリが必要になるため、治療期間は保存療法より長くなり、3〜4ヶ月以上かかることがあります。

交通事故後に整形外科での検査が欠かせない理由

交通事故後に整形外科での検査が欠かせない理由

交通事故の肋骨骨折は、受傷直後にはレントゲンに映らないことがあります。ヒビ程度の骨折や肋軟骨(肋骨の前方部分)の損傷はレントゲンで見落とされやすく、「異常なし」と言われても痛みが続くケースが少なくありません。

このような場合、CTやエコー(超音波)検査で骨折を確認できることがあります。画像検査で骨折の状態を正確に把握することが、治療方針の出発点です。骨折の本数・位置・ズレの大きさがわからなければ、全治の見通しも立てられません。

交通事故で胸を打った場合は、たとえ初回のレントゲンで異常がなくても、痛みが続くなら再検査を受けることをおすすめします。

交通事故による肋骨骨折で注意すべき合併症

交通事故による肋骨骨折で注意すべき合併症

肋骨は肺や心臓を囲むかごの役割を果たしているため、骨折によって周囲の臓器が損傷する可能性があります。骨折の治療そのものよりも、合併症の見落としの方が深刻な結果を招くことがあります。

気胸と血胸

折れた肋骨の断端が肺を傷つけると、肺から空気が漏れて肺がしぼむ「気胸」が起こることがあります。また、骨折部の周辺で出血が生じ、胸腔内に血液がたまる「血胸」もあります。

気胸・血胸の症状は、息苦しさの増強、呼吸が浅くなる、唇や指先の色が悪くなる(チアノーゼ)などです。これらの症状が出た場合は胸腔ドレーン(胸に管を入れて空気や血液を排出する処置)が必要となることがあります。

肺炎のリスク

肋骨骨折後に意外と多い合併症が肺炎です。痛みのために深い呼吸ができなくなると、肺の下部に分泌物(たん)がたまりやすくなり、細菌が繁殖して肺炎を起こすことがあります。特に高齢の方や喫煙習慣のある方はリスクが高くなります。

肺炎を防ぐには、痛みを鎮痛薬でしっかりコントロールしながら、無理のない範囲で深呼吸の練習を続けることが重要です。「骨が折れているのに深呼吸していいのか」と不安に感じる方もいますが、痛みを我慢できる範囲で肺を動かすことは、むしろ合併症の予防になります。

回復を妨げないための日常生活の過ごし方

回復を妨げないための日常生活の過ごし方

肋骨骨折の治療中は、絶対安静が必要なわけではありません。むしろ、寝たきりでいると肺炎や筋力低下のリスクが高まります。痛みを我慢できる範囲で日常動作を維持しながら、骨折部への過度な負荷だけを避けるのが基本方針です。

やってよいこと・避けるべきこと

日常生活で気をつけるポイントを整理します。

【避けるべきこと】

  • 重い荷物を持ち上げる
  • 体をひねるような動作(ゴルフのスイング、雑巾を絞るなど)
  • 激しい運動やスポーツ
  • 患部を強く圧迫するマッサージ・もみほぐし
  • 喫煙(骨の修復に必要な血流が悪化するため)

【続けてよいこと】

  • 歩行や軽い散歩
  • デスクワーク(痛みが強くなければ)
  • 入浴(バストバンドを外して短時間であれば可。主治医に確認を)
  • 痛みの範囲内での深呼吸練習

睡眠時の姿勢

肋骨骨折で最も困ることの一つが、寝返りによる痛みです。楽な寝姿勢は骨折の部位や程度によって異なり、横向き・仰向けのどちらが合うかは人それぞれです。クッションや丸めたタオルを脇腹や背中に当てて体が不意に動かないようにする、仰向けの場合は上半身を枕で少し起こして胸郭への負担を減らすなど、自分にとって痛みが少ない姿勢を試してみてください。

布団から起き上がるときは、骨折していない側の腕で体を支えながらゆっくりと横向きになり、そこから起き上がると胸に響きにくくなります。

肋骨骨折後の仕事復帰はいつからできるか

肋骨骨折後の仕事復帰はいつからできるか

仕事復帰のタイミングは、仕事の内容と骨折の程度によって大きく異なります。

早期復帰と無理の境界線

デスクワークであれば、痛みのピークを過ぎた1〜2週間後から段階的に復帰できることが多いです。ただし、通勤中の満員電車で胸を圧迫されたり、重いカバンを持ったりすることが骨折部への負荷になる場合があります。復帰直後は在宅勤務や時短勤務を活用できると理想的です。

立ち仕事や接客業では、長時間の立位で体幹に負荷がかかり続けるため、4〜6週間程度は休養を取ることが望ましいです。重量物を扱う仕事や肉体労働は、骨が十分に癒合しレントゲンで回復を確認してからの復帰が安全です。

自己判断で復帰すると回復途中の骨に負担がかかるため、必ず主治医にレントゲンで骨の状態を確認してもらってから判断することが重要です。

交通事故の場合は通院の記録が補償に直結する

交通事故による肋骨骨折では、仕事を休んだ期間や通院実績が、後の損害賠償や慰謝料の算定に反映されます。「もう痛くないから通院しなくていい」と自己判断で中断すると、治療の必要性が否定され、補償額に影響することがあります。

症状が残っている間は、週に1〜2回程度の通院を続け、医師に症状を伝えてカルテに記録してもらうことが大切です。通院の記録は「治療が継続していた証拠」となり、自賠責保険や任意保険の請求時に必要な書類になります。

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交通事故の肋骨骨折で知っておきたい自賠責保険と後遺障害

交通事故の肋骨骨折で知っておきたい自賠責保険と後遺障害

肋骨骨折の治療と並行して、交通事故の場合は補償面の段取りも進んでいきます。自賠責保険の補償と後遺障害認定は別の手続きとして動き、関わってくる時期も異なるため、それぞれのタイミングを押さえておく必要があります。

自賠責保険で治療を受ける場合の注意点

交通事故の肋骨骨折では、自賠責保険を使って窓口負担なしで治療を受けられます。ただし、自賠責保険で適切に補償を受けるためには、いくつかのポイントがあります。

まず、事故後できるだけ早く整形外科を受診し、診断書を作成してもらうことです。事故から受診までの間が空くと、骨折と事故の因果関係を疑われることがあります。次に、症状が落ち着いた後も、医師が「治療終了」と判断するまで通院を継続することです。

自己判断で通院を中断すると、まだ治療が必要だったにもかかわらず補償が打ち切られるリスクがあります。

症状が長引いて半年以上通院が続いた場合、保険会社から「症状固定」(これ以上の治療を続けても大きな改善が見込めない状態)を打診されることがあります。症状固定の時点で残っている症状があれば、後遺障害の認定申請に進む流れになります。

後遺障害として認定される可能性がある症状

肋骨骨折で認定されやすい後遺障害は、大きく2つに分かれます。

後遺障害の種類 等級 内容
変形障害 12級5号 骨折した肋骨が変形したまま癒合し、裸体になったとき変形が明らかに確認できる
神経症状 12級13号 骨折部位に頑固な痛みやしびれが残り、画像や神経学的検査で原因が証明できる
神経症状 14級9号 痛みやしびれが残るが、医学的に説明は可能でも証明までには至らない

後遺障害が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料を請求できます。12級の場合は弁護士基準で290万円、14級の場合は110万円が目安です。

交通事故の肋骨骨折に関するよくある質問

交通事故の肋骨骨折に関するよくある質問

肋骨骨折中にお酒を飲んでも大丈夫ですか?

骨折の治療中は飲酒を控えることをおすすめします。アルコールには血管を拡張する作用があり、骨折部周囲の炎症や腫れを悪化させる可能性があります。また、鎮痛薬を服用している場合はアルコールとの併用で胃腸への負担が増すほか、酔った状態での転倒は回復途中の骨に大きな負担をかけます。

骨癒合が確認されるまでは飲酒を控え、再開のタイミングは主治医に相談してください。

バストバンドはいつまで巻く必要がありますか?

一般的には3〜4週間程度が目安です。痛みが軽減してきたら、バストバンドを長時間巻き続けることで胸郭の動きが制限されすぎてしまい、肺活量の低下や筋力低下を招くことがあります。外すタイミングは主治医と相談し、レントゲンでの骨の状態も踏まえて判断します。

咳やくしゃみをすると激痛が走ります。対処法はありますか?

咳やくしゃみの際に枕やクッションを胸に当てて抱えるようにすると、胸郭の急な動きが抑えられ痛みを軽減できます。花粉症や風邪の時期は咳止め・鼻炎薬を処方してもらい、咳やくしゃみの回数自体を減らすことも有効です。

まとめ

まとめ

交通事故による肋骨骨折の全治期間は、ひび程度なら1〜2ヶ月、複数本の骨折では3〜4ヶ月以上が目安です。骨がつくまでの「骨癒合」と、痛みが落ち着いて元の生活に戻れるまでの「全治」には差があり、骨癒合後もしばらくは通院とリハビリを続けることが回復の近道になります。

交通事故の場合は、通院の継続と医師への症状の記録が補償面でも重要な意味を持ちます。自己判断で通院をやめず、レントゲンで骨の回復を確認しながら治療を進めてください。品川大井町整形外科・リハビリクリニックでは、院内でのレントゲン検査に加え、提携先の病院でのCT撮影にも対応しています。

交通事故による肋骨骨折の経過観察やリハビリ、自賠責保険での通院にも対応していますので、現在の治療や通院先についてお悩みの方はご相談ください。

交通事故に遭われたら、まずはご相談ください

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この記事の監修者

品川大井町整形外科 リハビリクリニック

院長 福山泰平

当院では、整骨院や接骨院、整体・マッサージなどではできない、交通事故の専門治療プログラムを行っています。充実した機器と広いリハビリ設備を完備しておりますので、どうぞ、安心してご来院ください。

経歴
神戸大学医学部 卒業
神戸大学医学部大学院(医学系研究科)修了
大阪大学医学部大学院(医学系研究科)特別研究生
M.D. & Ph.D. 取得
神戸大学医学部附属病院 勤務
神戸労災病院 勤務
三菱神戸病院 勤務
資格・認定
日本整形外科学会認定 整形外科専門医
日本整形外科学会認定 リウマチ医
日本整形外科学会認定 リハビリ医
日本運動器科学会 リハビリ指導医

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