交通事故のケガは何科?|整形外科が基本になる理由と、救急に行くべきとき
- 2026年10月26日
- 交通事故
信号待ちで追突された。その場では平気だったので警察に連絡して帰宅したものの、翌朝になって首が重い——このとき、多くの方が最初に迷うのが「何科に行けばよいのか」です。
結論からお伝えします。交通事故によるケガは、整形外科が基本の窓口です。骨・関節・筋肉・靭帯・神経といった運動器のケガを扱う科であり、診断・投薬・リハビリ・診断書の作成までを一貫して担えるからです。
ただし、すぐ救急に向かうべき状態もあります。この記事では、診療科の選び方とその線引きを説明します。
大井町駅から徒歩1分の品川大井町整形外科・リハビリクリニックが、交通事故の診療の現場から「交通事故のケガは何科?」について整理しました。
まず、いま救急に行くべきかどうか

診療科選びの前に、確かめていただきたいことがあります。次のいずれかがあれば、科を選ぶ前に救急医療機関へ向かってください。
- 意識を失った、意識がもうろうとしている
- 頭を強く打った(今は元気でも、あとから症状が出ることがあります)
- けいれんを起こした
- 繰り返し吐いている
- 大量に出血している
- 手足が動かない、強くしびれている
- 息が苦しい、胸が強く痛む
- お腹が強く痛む
これらは、整形外科で扱う範囲を超えます。迷ったら救急に相談してください。夜間や休日であれば、救急相談の窓口(#7119など、地域によって番号が異なります)に電話するという方法もあります。
上記に当てはまらない場合は、以下の内容をご確認ください。
交通事故のケガは、整形外科が基本です
交通事故で多いのは、首・腰・肩・膝・手足の痛みです。これらは骨・関節・筋肉・靭帯・神経の問題であり、整形外科が扱う領域です。
整形外科を基本の窓口とする理由は、次のとおりです。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| X線検査ができる | 骨折や脱臼がないかを、その場で確かめられます |
| 診断ができる | 医師が病名を付け、事故との関係を医学的に判断します |
| 薬の処方・注射ができる | 痛みと炎症を抑える手当てが取れます |
| リハビリができる | 運動器リハビリテーションを医師の管理のもとで受けられます |
| 診断書を作成できる | 警察に出す診断書も、後遺障害診断書も、医師でなければ作成できません |
つまり、「調べる」「治す」「証明する」の3つを1か所でつなげられるのが整形外科です。交通事故では、この3つ目——書類の面——が後々きいてきます。
整骨院・接骨院との違い
「近所の整骨院でよいのでは」というご質問をよくいただきます。ここは、誤解なくお伝えしておきたい点です。
日本整形外科学会は、骨折についてはっきりこう書いています。
接骨院(いわゆる整骨院)には医師はおりませんし、X線写真も撮れません。
当院の診療案内でも、整形外科と整骨院の違いを次のように整理しています。
| 整形外科 | 整骨院 | |
|---|---|---|
| レントゲン検査 | 〇 | × |
| 診断 | 〇 | × |
| 急性疾患 | 〇 | 〇 |
| 慢性疾患 | 〇 | × |
| 薬の処方 | 〇 | × |
| 注射 | 〇 | × |
| リハビリ | 〇 | × |
| 後遺障害診断書の作成 | 〇 | × |
交通事故のケガでは医学的な診断と証明書類が必要になるため、まず医師の診察を受ける必要があります。
「医師の診断がない診療は保険支払いの対象としない」という損保会社もあります。仮に治療の必要があっても、整骨院・接骨院では医学的な診断ができないため、治療が打ち切りになってしまうこともあります。
なお、当院では、医学的根拠のある理由を除き、整骨院や接骨院との併用はお断りしています。リハビリを医師の管理下で組み立てているためです。また、併用された場合、詳細な経過や治療内容を客観的に評価できないと、後遺障害診断書をお書きできないことがあります。
症状別に見た、行き先の目安
| 症状 | 行き先の目安 |
|---|---|
| 首・腰・肩・膝・手足の痛み、しびれ | 整形外科 |
| 手足が動かしにくい、可動域が狭くなった | 整形外科 |
| 打撲・捻挫・骨折が疑われる | 整形外科 |
| 頭を打った、意識の異常、繰り返す嘔吐 | 救急/脳神経外科 |
| 目の痛み、見えにくさ | 眼科 |
| 顔面の骨・歯の損傷 | 口腔外科・歯科・形成外科 |
| 胸やお腹の強い痛み | 救急 |
| 気分の落ち込み、眠れない状態が続く | 精神科・心療内科(整形外科から相談も可能です) |
首・腰・手足の症状が中心なら、迷わず整形外科とお考えください。
なお、頭を打った直後は問題がなくても、あとから症状が出ることがあります。脳神経外科や救急で一度診てもらったうえで、首や腰の痛みについては整形外科へ、という順番になることもあります。
交通事故で起きやすい症状
どんな症状が出るのかを知っておくと、「これも事故のせいかもしれない」と気づけます。当院の診療案内では、次のように整理しています。
- 首のむち打ち症(頚椎捻挫)をはじめ、首・背中・腰・肩・手足の痛み
- 首・腰・手足が動かしにくい、思うように動かない、動かせない方向がある(可動域制限)
- 肩・背中のこり、筋肉痛や過度な筋肉の緊張
- 関節痛、関節可動域の減少
- 手や指のしびれ、うまく力が入らない(脱力感)
- 頭痛・吐き気・めまい
- 自律神経症状(頭痛・だるさ・無気力・しびれ・めまい・食欲低下・疲れやすさ・倦怠感)
そして、日常生活や仕事の中では、こういう形で現れることがあります。
- 集中力が低下する(長時間の作業が苦手になる)
- 痛む箇所が移動する(昨日は腰だったが、今日は首が痛む)
- 夜間や明け方に症状が出る
- 季節の変わり目や天候によって症状が出る
- 症状が消えたと思ったら、数日後にまた出てくる
- 運動すると痛みが増す
- 体の冷えや寒さに敏感になる
- 姿勢によって痛いときがある
- 疲れやすくなる・眠りが浅くなる
「気のせいかもしれない」と思って言わずにいると、あとで困ります。少しでも症状があれば、診察のときに遠慮なくお伝えください。軽い症状を申告せずにいて後から悪化した場合、保険会社が対応できないことがあります。
「どの整形外科でもよいのか」
ここが、実はもうひとつの分かれ目です。
交通事故の診療では、通常の診療にはない手続きが伴います。保険会社とのやりとり、警察へ提出する診断書、治療期間の判断、後遺障害診断書——これらに慣れているかどうかで、進み方が変わります。
- 交通事故(自賠責保険)の診療を扱っているか
- リハビリの設備と体制があるか
- 通い続けられる時間に開いているか(交通事故のリハビリは通院回数が多くなります)
- 診断書をその場で出してもらえるか
とくに通いやすさは軽視できません。交通事故のリハビリは、治療開始の最初の3か月程度は週3〜5回の通院をおすすめしています。仕事帰りに通えない場所だと、続きません。
当院の診療案内でも、診療時間帯の問題などで、夕方や仕事帰りに病院で交通事故の継続治療を行うことは通常困難であると記載しています。大きな病院は手術や入院による治療が中心のため、交通事故の患者さんはどうしても敬遠しがちになる、という事情もあります。
「症状が軽いから行かなくてよい」は危険です
交通事故当日、自覚症状や目立ったケガがない場合でも、翌日以降に次第に痛みが強くなることは多くあります。
理由は2つあります。
①事故当日は痛みを感じにくい
交通事故の当日は、気持ちが興奮したり緊張したりしていて、痛みが感じにくくなっています。「たぶん大丈夫」と様子を見てしまう方が少なくありません。
②時間が経つと、事故との関係が説明しにくくなる
事故発生からしばらくして痛みが出ると、別の原因だと勘違いされることがあります。そして、受傷から一定の時間が経過してしまうと、交通事故と現在の症状の因果関係が認められなくなってしまいます。
交通事故は不意打ちで受傷することが多いため、瞬間的にとても強い力や負荷がかかっています。むちうちでは、頚椎や腰椎という神経が集中している部分に力がかかるため、通常の外傷とは異なり、交通事故の治療に経験のある整形外科専門医による適切な診断が必要です。
自己判断で放置するのは危険な場合もあります。少しの違和感でも、見過ごさずに受診してください。
受診の前にやっておくこと
交通事故のあとは、医療機関を受診する前にやっておく手続きがあります。
- 警察に連絡する——交通事故証明書の交付を受けることで、「物損事故」ではなく人身事故扱いになり、各種の証明や請求が可能になります。軽いケガだと思っても、必ず通報してください
- 相手の情報をメモする——名前・住所・電話番号・車両ナンバー・保険会社名など
- 保険会社に連絡する——通院予定の病院名と電話番号を伝えます。「交通事故でケガをしたので、○○病院を受診したい」と伝えれば、保険会社から医療機関に連絡が入ります
この3番目を先に済ませておくと、窓口での負担がありません。保険会社に連絡されていない段階で受診された場合には、一時的に一部負担金(1万円まで)をお支払いいただき、その後保険会社から連絡を受けた時点で返金いたします。
そして、診察後は警察に診断書を提出してください。これによって、自動車保険が適用される人身事故として処理されます。当院では、警察に提出する診断書を当日発行しています。
受診のときに持っていくもの
初めて受診されるときは、次のものをお持ちください。
- 身分証明書
- 健康保険証(自賠責保険での治療でも、確認のためお持ちください)
- 交通事故証明書(まだであれば後日で構いません)
- 保険会社の担当者名と連絡先
- 他院を受診済みの場合は、紹介状と検査結果
- お薬手帳(服用中の薬を確認します)
なお、他院を受診されてから当院の受診をご希望される場合には、前医の紹介状と各種検査結果をお持ちいただくようお願いしています。
診察では、身体の状態や事故当時の状況を詳しくうかがいます。どのような向きで衝突されたか、どの座席にいたか、体のどこをぶつけたか——こうした情報は、症状の説明と診断の材料になります。思い出せる範囲で構いませんので、お伝えください。
検査は何をするのか
まず、骨の異常の有無などを調べるためにレントゲン検査を行います。事故直後の状態を客観的な記録として残す目的もあります。
そのうえで、必要に応じてCTやMRIといった追加検査を行います。
なお、当院にCT・MRIはありません。 必要な場合は、東京品川病院をはじめとする医療連携先や、ご自宅・勤務先の近くの医療施設を当院から予約し、撮影していただきます。画像データ(CD-ROM)をお持ちいただき、当院で診断します。最短で初診当日に撮影・結果説明ができる場合もあります。
治療はどう進むのか
交通事故の症状は、大きく急性期症状と慢性期症状に分かれます。急性期(事故直後)や受傷部位の痛みが強い時期は、まず痛みを和らげ、炎症を抑えることを優先します。
症状が少し軽減したあとは、なるべく早く医師の監督のもとで、運動器リハビリテーション(運動療法)と物理療法(牽引・低周波・干渉波・マイクロ波・温熱療法)を組み合わせていきます。
ここで大事なのが、早い時期から動かし始めることです。日本整形外科学会も、骨折について「骨折部がグラグラしない限りは、その周囲の関節や筋肉は動かした方が良い場合が多く、必要以上の安静はかえってよくない」としています。松葉杖やギプス固定が必要な状況でも、早期にリハビリテーションに取り組むことで、後遺症が残るリスクを軽減できます。
治療期間は、ケガの大きさや重症度によって大きく変わります。いわゆる「むちうち」については、3〜6か月で治療を終える方が多いという経過ですが、1年ほど期間を要する方もいらっしゃいます。
リハビリについては、治療開始の最初の3か月程度は集中的に週3回以上(〜5回)の通院をおすすめしています。治療開始からの1か月間は、できるだけ毎日、または2日に1回が望ましいとお伝えしています。時間は20分刻みで、目安として40分〜1時間程度リハビリを受けられる方が多くいらっしゃいます。
交通事故後の早い段階でできるだけリハビリ治療に通うことが、その後の治療成績に影響します。 ここは、通いやすい場所を選ぶことが結果に効いてくる部分です。
当院でできること
品川大井町整形外科・リハビリクリニックは、整形外科・リハビリテーション科を掲げ、交通事故の診療に力を入れています。
- 交通事故の当日初診予約(直通ダイヤル 03-6433-9670/WEBでも可。自賠責保険のみ)
- 院内のレントゲン検査
- 診断・投薬・注射・リハビリ・診断書・後遺障害診断書作成のワンストップ対応
- 警察に提出する診断書の当日発行
- 国家資格を持つスタッフによるマンツーマンのリハビリ(予約制)
- CT・MRIが必要な場合の連携先への予約と、画像データによる診断
- 紹介状なしでの転院受入れ
診療時間は月〜金 10:00〜14:00/16:00〜20:00、土 10:00〜14:00(休診は日曜・祝日)。平日は夜20時まで診療しているため、仕事帰りにも通っていただけます。大井町駅から徒歩1分、品川駅から3分です。
※土曜の診療・リハビリは予約制です。
※受付は診療終了の30分前まで(午前診療 13:30/午後診療 19:30)です。
▶ 初めての方へ
よくある質問
Q. 加害者側です。それでも整形外科に行ってよいですか。
A. ケガをされたのであれば、受診してください。診療科の選び方は、加害・被害で変わりません。ただし、費用の扱いは保険の内容によって異なりますので、ご自身の保険会社にご確認ください。
Q. 物損事故として届けてしまいました。
A. 診断書を警察に提出することで、人身事故扱いに切り替えられる場合があります。まずは受診して診断書を作成し、警察にご相談ください。時間が経つほど手続きが難しくなります。
Q. 事故から1週間経ってしまいました。もう遅いですか。
A. 早いほうがよいのは確かですが、受診しないままにせず、できるだけ早く受診してください。時間が経つほど事故との関係が説明しにくくなるため、思い立った日に受診するのが最善です。
Q. 会社を休めません。夜でも診てもらえますか。
A. 当院では平日は夜20時まで診療しています(受付は19:30まで)。土曜も午前中は診療しています(予約制)。
Q. 保険会社にまだ連絡していません。受診できますか。
A. 受診できます。ただし、保険会社からの連絡前は一時的に一部負担金(1万円まで)のお支払いが必要となります(保険会社からの連絡後に返金されます)。
Q. どこの病院にかかるかは、保険会社が決めるのですか。
A. 患者さんご自身で選べます。受診したい医療機関名と電話番号を保険会社に伝えてください。
Q. すでに救急病院で検査を受けました。もう受診しなくてよいですか。
A. 救急では、命に関わる状態がないかを確かめることが優先されます。そのあとの治療とリハビリは別の話です。「検査や応急処置は受けたが、今後の治療やリハビリを受けたい」という形で受診される方は多くいらっしゃいます。
Q. 子どもが同乗していました。子どもも診てもらえますか。
A. 診察できます。お子さんは症状をうまく言葉にできないため、機嫌や動き方の変化に注意して見てあげてください。気になることがあれば、一緒にご相談ください。
まとめ
- 交通事故のケガは、整形外科が基本の窓口です。X線検査・診断・薬・リハビリ・診断書を一貫して扱えます。
- 頭を打った、意識の異常、けいれん、繰り返す嘔吐、大量出血、手足が動かないなどの場合は、救急を受診してください。
- 整骨院・接骨院にはX線も医師もいません。診断と書類は医療機関でしかできません
- 事故当日に症状がなくても受診してください。時間が経つと、事故との関係が認められなくなることがあります
- 受診の前に、警察への連絡・相手の情報のメモ・保険会社への連絡を済ませておくと進みが早くなります。
- 通院回数が多くなるため、通い続けられる場所と時間で選ぶことが重要です
交通事故のあとで体に違和感がある方は、早めに整形外科を受診してください。「たいしたことはない」と思える程度でも、診てもらって何もなければ、異常がないと確かめることができるため安心です。
交通事故のあとの受診や通院は、大井町駅徒歩1分の品川大井町整形外科・リハビリクリニックにご相談ください。
参考文献
- 日本整形外科学会「骨折」 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/bone_fracture.html
- 日本整形外科学会「外傷性頚部症候群」 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/whiplash_injury.html